活動報告¶
講習会6日目¶
2020年12月19日、高校生向け講習会「データサイエンス素粒子原子核」6日目が開催されました。8名の高校生の参加、および8名の大学スタッフ(3名のTA含む)の参加がありました。
前半の講義では、東京工業大学理学院物理系の久世 正弘 教授にニュートリノ物理、レプトンセクターでのCP対称性の破れ、Super-Kをはじめとする様々なニュートリノ測定実験について紹介いただきました。
実習パートでは, Super-Kで測定された大気ニュートリノ天頂角分布の測定データを再現する、ニュートリノ振動パラメータの決定をおこないました。
また5 \(\sigma\) で振動なしモデルを棄却できることも確認しました。
久世先生、講義の様子
講習会5日目¶
2020年12月5日、高校生向け講習会「データサイエンス素粒子原子核」5日目が開催されました。6名の高校生の参加、および4名の大学スタッフ(1名のTA含む)の参加がありました。
前半の講義では、東京工業大学理学院物理系の陣内 修 准教授から物質質量の起源であるHiggs機構について解説いただきました。
Higgs場を媒介して、クォーク、レプトン、ゲージ粒子(Z,W)がどのようにして質量を獲得するのか、またLHC ATLAS実験において発見されたHiggs粒子はどのようにして測定されたのかを説明していただきました。
実習パートでは, ATLASオープンデータを用いて4レプトンの4元運動量を計算、Higgs粒子の質量分布の計算するコード作成に取り組みました。
組み合わせる4レプトンの選別条件を、順次最適化してHiggs粒子のピークが有意に現れてくる過程を理解することができました。
Belle II物理データ解析では機械学習を用いてB中間子事象と背景事象の分類最適化を行いました。複数の特徴量の信号と背景事象との違いを同時最適化するために決定木、アンサンブル学習などを適用し、その予測性能などを検証しました。
陣内先生、講義の様子
講習会4日目¶
2020年11月28日、高校生向け講習会「データサイエンス素粒子原子核」4日目が開催されました。9名の高校生の参加、および7名の大学スタッフ(2名のTA含む)の参加がありました。
前半の講義では、東京工業大学理学院物理系の中村 隆司 教授から原子核物理、特に不安定核についての解説をしていただきました。
またビックバンから現在の宇宙における元素比率に至る過程(元素合成)において、中性子過剰な不安定核が深く関わっていることを解説していただきました。
さらに日本で発見された超重元素ニホニウム(Nh)についても紹介していただきました。
実習パートでは, 理化学研究所 RIビームファクトリー (RIBF) で行われている原子核実験データを用いて、 \(^{48}Ca\) を一次標的に入射して生成される複数の不安定核を識別するコードの作成に取り組みました。
Belle IIデータ解析実習では、 \(B^+ \to J/\psi K^+, J/\psi \to l^+l^-\) 崩壊の事象再構成に取り組みました。
終状態粒子として検出されるK中間子とレプトンペアの4元運動量を正しく組み合わせることでB中間子の質量分布を再構成するコード作成を行いました。
中村先生、講義の様子
講習会3日目¶
2020年11月14日、高校生向け講習会「データサイエンス素粒子原子核」3日目が開催されました。8名の高校生の参加、および5名の大学スタッフ(2名のTA含む)の参加がありました。
前半の講義では、東京工業大学理学院物理系の藤岡 宏之 准教授からハドロン物理の解説、およびJ-PARC加速器施設で行われているハドロン物理実験について紹介していただきました。
クォーク3つで構成されるバリオン(陽子、中性子など)およびクォーク・反クォークで構成される中間子(パイ中間子など)の総称であるハドロンを統一的に理解するために、どのような研究が展開されているか紹介していただきました。
特に通常の自然界には存在しないストレンジ(s)クォークが含まれるハドロンの物理について詳しく解説していただきました。
実習パートでは, GSI \(d(^{12}C,d)X\) 反応による \(\eta^{\prime}\) 原子核探索実験を題材として実習を行いました。
校正データ \(d(p,d)X\) を用いて、missing mass法により \(X=p\) の質量スペクトルを解析しました。
また、Belle IIデータ解析実習では、 電子・陽電子衝突による2つのB中間子事象生成(\(B^+ \to J/\psi K^+, J/\psi \to l^+l^-\))、 Belle II検出器シミュレーションを行い、中央飛跡検出器のヒット情報から崩壊粒子の飛跡を表示するプログラム(イベントディスプレイ)を作成しました。
藤岡先生、講義の様子
講習会2日目¶
2020年10月31日、高校生向け講習会「データサイエンス素粒子原子核」2日目が開催されました。10名の高校生の参加、および6名の大学スタッフ(1名のTA含む)の参加がありました。
前半の講義では、北里大学理学部物理学科の今野智之 助教から素粒子物理の最前線、およびBelle II実験について解説していただきいました。
素粒子標準理論を超える未知の素粒子をどのように探索するか、Belle IIではどのようなアプローチをとって新物理探索を行なっているかなど、高校生にわかりやすく紹介していただきました。
また東工大OBとして、学生時代の研究生活について振り返っていただきました。
実習パートでは, ハフ変換とQuad Tree アルゴリズムを用いた直線飛跡の検出方法、素粒子原子核解析ライブラリROOTのpythonインターフェイス (pyROOT), およびBelle II ソフトウェアフレームワーク (BASF2)を用いたB中間子生成、崩壊事象 ( \(B^+ \to J/\psi K^+, J/\psi \to l^+l^-\))のシミュレーションを行いました。
講習会1日目¶
2020年10月17日、高校生向け講習会「データサイエンス素粒子原子核」1日目が開催されました。様々な地域から17名の高校生の参加、および7名の大学スタッフ(2名のTA含む)の参加がありました。
Googleクラウド上に構築されたJupyterサーバーにて実習は行われました。
初日は,プログラミング言語Pythonの基礎、numpy, pandas, matplotlibなどのPython基本パッケージの講習が行われました。また素粒子原子核実験における荷電粒子の運動量測定について実習を行いました。
実習は全てZoomオンライン会議形式で行われ、開催日以外にもSlackチャットを利用して実習内容に関する議論を行っています。